『メアリと魔女の花』のデザイン

メアリと魔女の花、楽しみですね!

来年夏公開になる、米林宏昌監督最新作(『借りぐらしのアリエッティ』『思い出のマーニー』)、スタジオポノックの長編第1合、『メアリと魔女の花』のお話ですよ。

今井がセットとかデザインしております。セットではなく、空間?アニメでは設定というらしいです。初めてのアニメです。

もう、かれこれ2年近く前、LAから一時帰国した時にプロデューサーの西村さんと話をしてから、ずーっとやってました。そしてまだまだ完成していない!アニメって、作るのにすごく時間がかかるんだなーって、やってみてつくづく思い知らされました。脚本とか、構想とかに時間がかかるんじゃなくて、実制作に時間がかかる!ワンカット目ができてから最終カットまで、1年以上。その間ペースを乱すことなく1カットずつ作り上げていく。マラソンだなー、と感じました。

鉛筆めちゃ使いました。いろいろ幅広いジャンルと場所で仕事してきましたが、「こんなにたくさん鉛筆で絵を描くのは初めてだよ!」って声に出して言うくらい、鉛筆で絵を描きました。普段はマーカーやペンと少しの絵の具、そして最近はほぼCGになっていたので、新鮮でした。けどジブリの人って、みんな鉛筆でどんどん絵を描いて話が進んでいくんですよね。それに必死についていこうとしてました。お陰で鉛筆と色鉛筆使うのが上手くなりました。生まれて初めて消しゴムカス掃除機買いました。

長い長い制作期間中に、うちの子どもも生まれました。

まず、西村さんに最初に言われてたのが「原点回帰。『ラピュタ』や『魔女の宅急便』を好きなファンに面白いと言ってもらいたい」という目標だったので、もちろん昔のジブリ作品は意識しました。作業中一番聴いたのは『トトロ』のサントラでした。

けれどCGも、とりわけ3DCGも、たくさん使いました。せっかく自分がやるなら、これまでのジブリ作品やアニメ作品にはない空間の使い方をやってみようと挑戦しました。前作の『思い出のマーニー』で、陽平さんがやったのとは、また違った方法で、(むしろ作品の雰囲気が間逆なので、真逆の方法で)新しいアニメ美術にしたいと、あれこれ考えて実践してみました。これまでの手描きアニメ文化ではなかなか作ってこなかった類の、立体的な空間に挑戦しました。

そのお陰で、たくさんモメました。これまでのジブリ作品を描いてきた美術の方々(そしてもちろん、今回の作品も描いてもらっている方々)とも、言葉と絵とで、幾度となく議論をかわしました。これは描きにくい、この構造はアニメでは意味がない、この色は絵の具では出ない、ではこうしよう、これはボツ(あーあ)、このシーンはCGレイアウトをおこそう、などなど、数え切れないくらい。ボツのアイデアが星の数ほどたくさん出ました。

最初は右も左も分からず、毎週打ち合わせに行くのが憂鬱でした。本当に胃に穴があくんじゃないかと考えるくらいナイーブでした。毎回、負け戦に向かってる感じがしていました。前半のアイデアは、ほぼボツだったなー。思い出すとまた胃が痛い。

けれど、マロさんとのアイデアのキャッチボールを繰り返すに連れ、面白いものにできるかも知れないと感じ始めました。マロさんは僕が出したアイデアに対して、更に追加してアイデアを返してくれる人でした。なので、それを見て自分が今度は「だとしたらここはこうしましょう!」と提案して、そしたらまた面白くなって返ってきて、の繰り返しでした。

自分のキャリア、いつものCM、PVの癖で、自分としてはカッコイイもの、真新しいものを描いてしまいがちでした。それに比べてまろさんは何を描いても「可愛く、面白く」なる人でした。僕の出したアイデアをマロさんが可愛くして、また僕が少しカッコ良くして、の繰り返しでした。最終的にはどの空間もカッコ良くて可愛いものになったと思っています。まだ終わってないですね。

最初の1年くらいで、一通り美術の設定を終えて、それにあわせてマロさんがラフコンテを描き終わりました。そのラフコンテを通しで読み終えた瞬間に、鳥肌が立って、「めちゃめちゃ面白いやん!!」と声に出してしまったほどでした。まだその時は美術設定はラフなものでしたが、でもそれらの空間が作品の中で舞台として登場し、キャラクターたちにどんどん消化されていく過程が、見てて感動しました。ラストシーンではゾクゾクしました。この構造にして良かった!(描くの大変だけど、、、)と思いました。あまりに構造が複雑すぎてわからない、とマロさんに言われたので模型まで作りました。

もちろんそこから、美術のスタッフの方々とも話して、マロさんがこうくるなら、こう変更しよう、ここはもっと、こうしよう、と、新しいアプローチも生まれました。キャラ設定が出てきたら、そのキャラにあわせて空間のデザインも再考しました。そういうアイデアの投げ合いも、長い時間の中でたくさんできたので、とても良い経験でしたし、たくさんの事が学べました。まだ終わってないですね。

今回の作品は、ジブリの美術さんたちいわく、アニメ映画作品としては「珍しい」くらいに、舞台の数が多くて「大変」らしいです。その大変な量の舞台、つまりは空間、建物、部屋など、森、山、空、海と、どんどん出てきて、ストーリーがジェットコースターみたいに前に進んでいきます。その中で、どうにかこうにか、見た人が「わっ!わっ!わー!!」と、ジェットコースターに乗った時みたいに驚く世界を作ろうと頑張りました。全シーン、全シチュエーション、それぞれにいろんな工夫、ヒネリを効かせて、面白くしようとしてみました。

まだまだ世に出ている情報が少ないので、自分のことばかり書きましたね。皆さん楽しみにしていてください!

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