アニメ②映画とテレビ、アニメと実写の違い

「テレビアニメ」と「アニメ映画」をみていて何か違いを感じることはありますか?
皆さんの中でもジブリ作品などは映画。ポケモン、ドラゴンボール、ワンピース、はテレビアニメなどとなんとなくジャンルはわかれていると思います。そして同じアニメでもテレビアニメと劇場版アニメを比較してみているとなんとなく違いを感じることはあると思います。その理由は同じアニメでもテレビと映画では制作における手法が違っているからです。もちろん作画の枚数や、一秒あたりのコマ数なども違いますが、実は美術が非常に大きな役割を担っているのです。
今回はそのような映画とテレビの違い、実写やアニメの美術の違いについてお話したいと思います。

映画とテレビの美術の違いを生むのは何かというと、当たり前かもしれませんが大画面で見られるように作られているかどうかということです。
最近テレビも大画面でみれるようになりましたが、映画館のスクリーンの大きさにはかないません。むしろスクリーンも大型化しているのが現状です。
実写映画とテレビドラマにも違いがあるように、アニメにおいても大画面で見ることを前提に作られた作品と、
テレビ画面でみられるのを前提に作られた作品とでは、絵の中のキャラクターの大きさが違います。相対的に映画のほうが、キャラクターが小さくなります。
その分キャラクター以外の面積が大きくなり、それを占めているのが美術です。また絵の「密度」というのも変わってきます。
実はテレビ画面に精密な絵を描きすぎると、見ている人にごちゃごちゃした印象を与えてしまいがちです。
そういうことを避けるために、逆に美術や背景をシンプルにしたりぼかしたりしています。
昔のディズニー映画などはものすごく美術がシンプルに描かれています。
先ほどいった映画館のスクリーンの大型化も映画における美術の緻密さを求めるようになった流れの一つです。
これらはアニメ、実写にも共通して言えることですが、フレームをみた時の印象で「映画っぽさ」を引き出すのは美術による役割が非常に大きいといえます。
宮崎監督の言葉にもあるように「この作品は世界観がきちんと作られているな」と認識されるためには美術による作りこみが必要不可欠なのです。

実際に、その緻密さを紙の大きさで例えてみると、(ここで実際の写真を入れ込む)
ふつうのテレビアニメがA5ほど、ジブリ以外のアニメ映画がB5くらいほどで、ジブリ作品はA4ほどの大きさになります。
これまでのジブリ作品で描かれている美術や背景は他のアニメーション作品と比べても紙が大きいのがわかると思います。
こういう紙に対して、使っている筆や絵の具は同じようなものなので、描ける細かさに直接的に差が出てきます。
なぜなら小さい紙にかけば多少のごまかしも可能ですが、紙が大きくなるとそういうアラも目立ってしまいます。
大きい紙に背景を描くだけでその人の技術が必要になってきます。
それは描くのにかかる時間もいえることで、紙が大きくなるにつれ時間が比例してかかってくるので、つまり人件費、つまり制作的にもお金がかかってきます。
ご存知のかたも多いと思いますが、ジブリ作品がアニメ作品の中で製作費が高いのはそういう背景もあります。

ここで実写とアニメの違いにも触れておくと、大きくいって以下のような違いがあります。
○同じセットの絵を違うアングルで何回も描かないといけないということ
○同じセットの絵を、何人もの違う人が描かないといけないということ
○描く人のスキルが、美術のクオリティを大きく左右すること

実写だと一度セットを作ってしまえば、同じセットをどのアングルから撮影しようがセットに変わりはありません。
しかしアニメだと1コマ1コマ別の人が描いて、アングルにあわせて小物の位置や、壁の高さ、使う絵の具の色をきちんと統一して描かないとバラバラになってしまい絵が繋がらなくなってします。
そこの足並みをそろえるのがとても大変な作業で、アニメの仕事を始めたころの私にとって、その考え方で美術が進行することを考えなければならないのが非常に難しかったです。
またどのフレームも1枚の背景を描くのは結局1人の背景さんの作業なので、
どんなに綿密にデザインしても、最終的にはそのカットを描く人が上手くないとフレームに再現されません。
アニメはセットに対する物理的な制約はありませんが、その分スキルの限界という制約が発生します。
なので打合せで「この手すりの構造は描きにくいからやめましょう」や「この窓の形は面白いけど、筆では表現しにくいのでやめましょう」など、また直線よりカーブの方が難しいので、カーブ具合とかで「描きにくい」「描いたとしても絵だと伝わりにくい」という理由で修正になったものが結構ありました。
つまりアニメの美術においてはそのカットを描く人が上手く描けるようなデザインにすることがすごく重要になってきます。
その辺の事情はマロさんに優しく丁寧に教えて頂いて、非常に勉強になりました。

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