ハリウッドのデジタル化。CGではなくてアートディレクションのデジタル化。

ここ最近3DCGの記事ばかり書いていましたが、こっちにきてから、CGを使う機会が格段に多くなりました。これは、この記事を描いている10月時点での感想であって、この記事を描いている4月の時点での実感ではありませんでしたが。

日本で僕が描いてきたような筆やペンを使ったデザインスケッチや、鉛筆書きの図面なんかは、必要とされません。もちろん、「手書きの味が好きだよ」というデザイナーが大多数なのですが、いざクライアントに提出するとなると、やっぱ3DCGでやろうか、という話になります。

3DCGでプレゼンするデメリット

前回の記事「Rhinoのパワーに驚きつつの考察」で紹介したようなフォトリアリスティックなCGが求められるわけでもありません。美しいレンダリングをクライアントに提出すると、その分、余計なコメントが返ってくることが多くなるからです。よく話のネタになるのは、きれいなCGレンダリングをデザイン画として出すと、「ここのこのイスは、もうちょっと違う種類の方がいいな」とか「この花瓶の色が、、」などという細かいコメントが返ってくるのです。こちらとしては、あくまでもこれはCGで、実際に現場に持ってくる小道具は、別資料で渡しますよ、と言いたいわけですが、きれいなCGを見せてしまうと、人は誰しも、これが最終的なルックだと思ってしまうわけですね。

そこで登場するのがSketchUpです。SketchUpのスタイルで、手書き風、ラフな感じを出しつつプレゼン用資料を作ります。そうすると、あくまでもこれはラフスケッチであって、詳細はこれから詰めていくんですよ、というニュアンスが伝わります。この理由のために、ハリウッドのプロダクションはSketchUpに頼り切っているのです。

だったら手書きでいいじゃん、と思いますが、手書きだと、アングルの修正がききづらいです。「うん、いいね。こっちのアングルから見たときはどうなの?」と言われた時に、SketchUpならワンクリックでカメラを移動できますが、手書きだと、また1時間くらいかけて絵を描かなくてはなりません。ここが、手書きではなく3Dでやろうと決心させる、もっとも大きな理由です。

図面も、手書きではなく、PCで引くのがメジャーです。理由は簡単、メールで送れるからです。実際に手で、紙で、図面を渡すのではなく、「DXFで送って」の方が早いし、便利なのです。必要であればそのままCNCやウォータージェット、レーザーカットに直接送れるし。この「機械化された」作業が、ハリウッドでは多いです。日本ではまだ人が切ってるところを、ほとんど機械で処理してしまいます。それはその分、規格サイズや物理的な制限にとらわれない、自由なデザインを可能にするので、いいことだと思います。そういった手法がメジャーな分、料金も抑えられています。日本ではベニヤ1枚レーザーカット出すと、、、、と予算を気にしないといけないですが、こっちではそれが当たり前基準になっているのです。

LAに気て一番最初に聞かれて、今でも人に会うと必ず聞かれるのが「AutoCAD使える?」ということです。僕は、AutoCAD LTのサブスクリプションプランを購入しています。

必要になるPCスキル

g087僕もこっちに来てから、AutoCAD、ZBrush、Rhinoと、多くのソフトを本気導入しました。AutoCADは以前に触ったことはあったのですが、きちんと導入したのは初めてです。ソフトの使い方は、1週間くらいいじっていれば使いこなせるようになります。これは、今まで別のソフト(アナログでの作業も含めて)で同じことをしていたからでしょう。図面だったら、どういう線を引いたらいいのか、とか、すでに分かっていればあとはソフトの使い方をマスターするのは簡単です。図面の引き方をゼロから、新しいソフトを使って勉強しようとすると、時間かかると思いますが。3Dでも一緒です。リアルなレンダリングを作り上げるにはどうしたらいいか、それはべベル、面取り、そいて反射率のコントロールである、というのを、予め知っていれば、新しいソフトでそれをするのは簡単なことです。実際にモノづくりっするときには「チリ」をつけると高級感がでるよ、とか、水彩画を描くときは、ものの反射率、光沢があるのかマットなのか、きちんと考えながら絵を描けばリアルになるよ、とか、そういったポイントを分かっていれば、慣れていないソフトを使っても、ある程度の表現がすぐにできるようになります。

でもやっぱりアナログがいい

ちなみに、僕が話す多くのデザイナーは、「本当は手書きがいいんだよ。美しい3DCGを作っても、現場ではそうはならない。結局はウソなんだよ。しかもCGでやっちゃうと、自分が望んでいる空気感、質感、そこから出てくるイメージってのが表現できないんだよ」と言います。僕もそう思います。CGは美しいので、きれいな映像を作ろうとしている場合はいいですが、汚しがかかったり、もっと空気に質量のある感じを表現するのは、CGだととても時間がかかります。そういった表現は、人の描く絵のほうが、説得力が出ます。

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