メダル~NURBS+メッシュは無限の可能性~

「『完璧過ぎないクオリティ』を追求すると、手作りと似たような作業になります」

今井はこう切り出した。

今回のお話は、今井が携わった、医療関係者向けポスター用のグラフィックについてである。

 

まずはこちらの画像をご覧いただきたい。

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このメダルが今回の今井の作品だ。

ごく簡単に説明すると、基本をRhinocerosで形作り、ZBrushで微調整したのち、最後にOctaneでレンダリングという流れで制作した。

その道の職人が圧倒的な技量を余すことなく発揮して製品を作り上げる時に、工程によって作業道具を変えることともどこか通ずるように、今回の作品を完成させるために今井は複数のソフトを使用した。

 

それぞれのソフトの詳細は文末に掲載した各HPに譲るとして、今井の言葉を借りてその特徴を説明していこう。

まずはRhinocerosだ。

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「今回の作品ではベースをRhinocerosで作りました。このソフトは何といっても3DCGで簡単に曲線が描けます」

「また、仮に全く同じ形状のオブジェクトをRhinocerosとZBrushで描いた場合、Rhinocerosの方が格段に速い」

「少しテクニカルなお話になりますが、曲線を滑らかに描ける理由は、Rhinocerosのデータ形式が『NURBS(ナーブズ)』といって、曲線を描くのに数式を用いているためです。Rhinocerosに似たソフトで、使用感が比較的簡単であり、ハリウッドなどでも人気のスケッチアップというソフトもあります。ただ、スケッチアップは厳密に言うと『メッシュモデラー』なので曲線は描けません。Rhinocerosは少し操作は複雑ですが、そのぶんできることが非常に多いですね」

 

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続いてはZBrushだ。

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「ZBrushは、Rhinocerosではほぼ不可能なほどの細かな表現ができます。先ほど、Rhinocerosは『NURBS』という形式とお話をしましたが、ZBrushは『メッシュ』」

「Rhinocerosで作ったベースをZBrushで非常に細かなポリゴンの集まりに変換します。『メッシュ』は直線で構成されたポリゴンの集まりなので、曲線を描くのには向きませんが、今回の作品で言えば150万ポリゴンなので、とても繊細な表現が可能になります。実際にある硬貨などをよく観察してみると、凸面と平面の間に、本当にわずかながら凹面があって、ZBrushではこういったものの表現が可能です。また、凸面の角の独特な丸みも再現できますよ」

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最後にOctaneである。

「仕上げのレンダリングにはOctaneを使いました。このソフトの特徴は、ある程度のクオリティのものを出すまでが早い、という点。私のPCがOctaneのパフォーマンスを発揮しやすい環境ということもありますが、例えば100のクオリティに対し、Octaneは70のクオリティを出すまでが早いです」

「ただし」と、今井は言葉を続ける。

「仮にOctaneで100までのクオリティを出そうと考えたときに、できないことはないですがとても時間がかかる。従って、常にOctaneを使うのが正解、とはならないでしょうね。ただ、私のような仕事、プレゼンの資料などで3DCGを使う場合はOctaneで事足ります」

 

冒頭の言葉に続き、今井はこう語る。

「今回の作品はメダルだったわけですが、最終的に人が手に持つ写真と合成するので、完璧すぎると逆に嘘っぽくなってしまう。従って、『完璧過ぎないクオリティ』を追求しました」

「メダルにある文字や月桂冠が溶接された感じなど、鉄独特の質感を出すだけでリアリティがグッと出ます。Rhinocerosだけでメダルを作ることもできましたが、現場の職人さんが手作業で行う工程を疑似的になぞらえるため、ZBrushやOctaneで良い意味での手加減を施した結果、リアルな物を作れました」

 

最後に、「NURBS」と「メッシュ」について、今井が解説してくれた言葉で今回の記事を締めくくろう。

「『NURBS』と『メッシュ』、どちらを使うかは永遠のテーマです。結局、何を作るかによって変わるのだ、と。同じ3DCGで描く、と言っても何を描くかで、そもそも職業が違う。『NURBS』であるRhinocerosはCADのソフトなので、寸法を取るのは完璧で正確です。実際の製品として世に送り出すような工業デザインなら『NURBS』でしょう。一方、ZBrushなどの『メッシュ』は、完全にバーチャルな世界のものをデザインするときに使います。出来上がったオブジェクトに色を付けたり、色を付けながら形を変えられます。アーティスティックなものなら『メッシュ』ですね。僕が両方使えるようになったのは、作るものの幅を広げたかったからです。Rhinoceros+ZBrushは無限の可能性を持っています」

※各ソフトの特徴は、初めてソフトの名前を聞く方にもわかりやすいよう、簡易にご説明致しました。

 

参考資料

Rhinoceros

http://www.rhino3d.co.jp/

ZBrush

http://oakcorp.net/zbrush/features/ZBrush4R7/index.php

Octne

https://home.otoy.com/render/octane-render/

 

 

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