ユニクロ『LifeWear』ジョガー篇・空間の動きをデザインする

ロケ地の特性を活かし、光や反射を微調整しながら空間を作るのが課題だったという今回の作品。ユニクロ『LifeWear』のグローバルブランディングキャンペーンTVCM第3弾・ジョガー篇についてのインタビューです。


「ロケ地は全面ガラス張りの芝浦ハウス。カメラが人物に寄った時に背景が1階のオフィスになるので、そこが平坦にならないようにすることが重要だった。建物の反射や透明感を活かして、空間に動きを出したのがポイント。」

具体的には?

「0:13~で3名の登場人物に寄るシーンで、後ろのガラスに四角い白とオレンジの光が交互に反射している部分。向かいの飲食店の壁(画面上では見えない)に白いランタンとオレンジのフィルムを仕込み、反射させている。ここは照明部さんと何度も打ち合わせを重ねた箇所。白だけでは彩りが少ないので、オレンジもプラスして暖かい雰囲気を出した。

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パネルにプリントした草のようなグラフィック

1階部分は建築デザイン事務所という設定。ミッドセンチュリー系の家具に囲まれ、左側の窓際(警備員の後ろ)には建築模型も。こだわったのは、このオフィスの正面奥。PC前に座る社員役の人の後ろに、白い縦棒の照明と草のようなグラフィックを印刷したパネルを置いて、縦のラインとにじむ光を生むようにした。0:27~、ロゴの右辺りに小さく見えると思う。実はこれ、KK Barrettが昔作ったセットの写真を引き伸ばしてプリントしたもの。

この空間に何をどれだけ配置するかの計算とパネルの制作が、今回は一番難しかったね。明部と暗部にメリハリを付けて、空間に動きを出すための調整が必要だった。」

芝浦ハウスは通常2階部分も屋内が見える状態ですが、今回の撮影では黒いカーテンを貼って暗くしていますね。

「幾つか理由があって、まずは2階まで真っ白だと画面の中で明るく飛びすぎてしまうこと。次に、手前にある飲食店(バルの設定。実際にはうどん店)の建物を、2階部分に反射させたかったこと。更に、2階に仕込んだ照明を隠す必要があったこと。今回のロケ地は前日からの作業が出来なかったから、この作業はてんやわんやだったなー。」

この部分については、デザイナーのKK Barrettとも意見がぶつかったとか。

「KKは大道具さんに貼ってもらったカーテンのシワや浮き、光沢が気になって『これじゃダメだ、最初からやり直そう』と。でも彼の言うクオリティを実現するには、時間的にも物理的にも無理があった。建物の構造上、梁などの凹凸があったのと、それをカバーしながら貼るには時間が足りない。以前にも話したけど、彼は現場で自ら小道具やセットを動かすタイプ、僕はモニターで見ながら指示を出すタイプ。そこで彼にモニターを見せ、『ここから見ればシワは柱で隠れるし、ナイター撮影だから夜になれば光沢や浮きは大丈夫!』と言うと、『確かに』と理解してくれた。」

限りある時間の中で、どこまでを追及するかは難しいところですね。

「KKの言っていることは十分に理解ができること。だけど、時間も人員もお金も限りがあるからね。それが無限ならば可能でも現実はそうじゃない。想定していたベストではなくても、出来る中でのベストクオリティを目指すのが大事だよ。」


次回はニット篇についてのお話をお送りします。お楽しみに!

↓こちらの記事もチェック!
KK Barrettとの出会い(1)
KK Barrettとの出会い(2)
今回一緒に仕事をしたデザイナーKK Barrettについて今井が書いています。

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