絵を作る上で、最も難しいのは

「中間を狙うのが一番大事で、一番難しい。」

デザイン画を描きながら、美術デザイナーである高橋カイさんのこの言葉を思い出しました。

つまり僕ら美術デザイナーは、監督、プロデューサー、クライアント、カメラマン、そして出来上がった映像を見るお客さん、その全員を納得させる絵を作らなければならない。皆が思い描く理想を全てカバーできるような、絶妙な「中間」を作り出すこと。独りよがりのアイデアを突き進めるのではなく、一部の人だけが理解できるものでもなく、全員が納得させられるポイントに着地させること。

この言葉を聞いた当時の僕は20代前半。そのときは内心、「中間を狙うなんて、色んな人の意見を考慮してデザインするということだろう?それでは自分の個性がなくて面白くない」と捉えていました。

若い頃は、何か爪痕を残さなければ、自分の個性を確立させなければと必死で、特に理由もなく尖ったデザインを目指すことが多かったように思います。それが個性の表現であると信じて。
だけど経験を重ねるうちに、個性は出そうとして出せるものではないことに気付きました。逆に言えば、多くの人の意見を考慮して描いたものを没個性だなと感じても、結果的に作品における個性が消えることはない。

制作の工程には多くの人が関わっているので、自分とは異なる意見が出るのは当然のこと。A案がダメならB、C……と提案していき、他者の声を取り入れてみた結果、最善と思うものが出来る場合も多々あります。そして、過程で採用されなかったものも自分の引き出しに追加され、無駄になることはありません。

そのことに気付いてからというもの、“中間”とはポジティブなデザインの結果であると理解するようになりました。今でも中間を狙うことが絶対的に正解だとは思っていませんが、そこのバランスは大事だと実感しています。そしてカイさんがおっしゃったように、それが一番難しいということも。

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