関ジャニ∞「NOROSHI」MV~いつかどこかで活きる経験~

8月下旬、監督の井上哲央から今井にオファーがあった。

関ジャニ∞、「NOROSHI」(2016年12月23日公開の映画「土竜の唄 香港狂騒曲」主題歌)MVの撮影だ。

「今回の初期テーマは『和』でした。最初の打ち合わせで、どんな曲なのかなどをヒアリングした時点ではまだ曲名も仮題でしたし、歌詞も決まっていなくて。そういった事情から、ぼんやりとではありますが、とりあえず『和』のイメージでやりたいと、関ジャニ∞のメンバーには侍の衣装を着てもらって、殺陣もやりたいというお話が出ました。」

動き出した当時を今井はこう振り返る。

「最初の打ち合わせのあと、1枚のイメージ絵を書きました。セットの中央に、金色に煌めく高さ2mほどの大仏像を置いて、左右には金剛力士像を配置したものでしたが、この絵はボツになってしまって。なぜならば、9月中旬頃にコンセプトが明確になってきたからです。『和』に寄せるのではなく、もう少し広い『アジアンミックス』でやろうと。

コンセプトが固まった後に描き直したセットイメージはステージ左右に櫓(やぐら)を置いたもので、これがそのまま採用されました。櫓は和風のものではなく、バリ島など東南アジアでよく見られる、高床式の構造になっているんです。櫓に電球も付いているのですが、『アジアンテイスト』なので、ごちゃごちゃっと、左右対称にならないようにもしました。

セット自体の色は黒。今回は照明の色によってセットに色を付けようと、いわゆる『カラーライティング』に頼るデザインでした。

また、今回はムービングライトががんがん振り回されて、さらに櫓が下からのライトで照らされたので、背景に木を配置することが効果的でしたね」

櫓について今井はこう解説してくれた。

zumen0914_%e3%83%9a%e3%83%bc%e3%82%b8_2「櫓の図面はCGで引きましたが、大体の高さなどだけ伝えて、あとは大道具さんの作りやすいように作ってもらいました。あまりかっちりした図面を引くと、一般的には融通が利かなくなるというデメリットがあります。

今回の場合は大道具さんが機転を利かせて、独立パーツを事前に作れるようにと修正してくれました。こうすると、現場で組み立てるだけなので効率的です。毎回ではありませんが、今回のように『最低限ここだけは守ってください』というポイントだけ伝えて、最終的に細かい所は大道具さんにお任せすることもありますね」

zumen0914_%e3%83%9a%e3%83%bc%e3%82%b8_3

 

そして迎えた9月下旬、撮影当日。

「今回は監督の人選により、2名のカメラマンで撮影に臨みました。2人ともライブの映像を撮っている方です。この采配の理由は、一発の演奏で良いものを多く撮りたいからということでしょう。

ライブのカメラマンにしか撮れない画というものがあって、関ジャニ∞の場合、メンバーご自身で演奏なさるので、ライブの撮影に慣れていて、反射神経のある方が適任でしょうと」

「また」と、言葉を少し区切り今井は続ける。

「今回の撮影では改めて『MVっておもしろいなぁ』と感じたことがあります。それは『今回は特に、メンバーが演奏するライブ形式のMVだからこそ、全く同じ画は二度と撮れない。その時にしか撮れないものがあって、全てが計算され尽くしたCMの撮影とは違う』ということ。カメラマンによって、『自分の作ったセットがこう切り取られるのか』と、照明によって『こういう照明の仕方があるのか』という点。これがMVのおもしろさだと僕は思います」

最後に、今回のセットをデザインするに当たっての、今井の言葉をご紹介して記事を締めくくろう。

「今回の撮影で作った櫓。これ実は一昨年あたりに携わったとあるPVで、使われなかったアイディアを活かしています。櫓に付けた電球や旗がそれです。今回のように、以前リサーチはしたけれども使わなかったデザイン、アイディア、ひいては経験がどこかで活きることがあります。最初に上げた大仏像と金剛力士像のイメージもいつかどこかで活きるかもしれませんね」

文中敬称略

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.