Apple Final Cut Pro X ~デザイナーの仕事とは・・・~

 

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はらりと舞い落ちる花びらの桜色、ぴんと真っ直ぐ佇む竹の緑色、中心で騒ぐ花々の極彩色。

今井が携わったApple 「Final Cut Pro X」プロモーション映像のメインビジュアルだ。

「Final Cut Pro」とはAppleが販売している映像編集ソフトで、映像業界ではナンバーワンのシェアを誇る。

今回の作品について今井はこんな裏話を聞かせてくれた。

「今回の『Final Cut Pro X』プロモーション映像は制作の段階で『Graceland』というコードネームで呼ばれていました。アメリカではほとんどの作品がコードネームをタイトル名として準備されますが、コードネームには何の意味もなく、ただ適当な英単語です。というのも、例えばAppleがiPhoneのコマーシャルだとうたって準備していると情報が洩れてしまう可能性があるため。CM以外にも、映画の場合でも小道具レンタル業者から小道具を借りる時に、『この小道具はこの作品でキープ』という札を各小道具に付けていくのですが、その札にタイトルなんて書いていたら大問題になるので、コードネームを使って準備するのが常套手段になっています」

花々を囲む鉄製の枠は、業者と白熱したやり取りの末に完成した。

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例えば枠の四隅から中心で交差するワイヤーと、そのワイヤーを固定する器具。

花々を固定するとかなりの重さになる。

重量に耐えられる強度があり、それでいてデザインの調和を損なわない物にするためにはどうすればよいか。

例えば枠の質感。

鉄のままか、溶接した所だけ研磨するのか、全てを研磨するのか。

塗装も選択肢に入れ、3回ほど塗りなおしたが、どれもうなずける出来にはならなかった。

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今回の作品では、フラワーアーティストの東信氏のアートワークにフィーチャーしたいというリクエストがあり、もちろん東氏も製作に携わったのだが、東氏の自然に対する礼儀、環境へ負荷をかけないという信念に、今井も共鳴した。

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日本に存在する竹林で撮影を行ったが、その中を舞う桜の花びらは人工物であり、環境への配慮から水に溶けるものを用意した。

東氏の信念は、鉄製の枠で花々を囲んだだけだと、花々の花粉が散り、ロケを行った竹林においてその花々は外来種になるため、好ましくないという主張をするほど徹底していた。

今井が一番最初に提案したメインビジュアルは「ガラス張りのケースの中に花々を生け、それを東京都心のど真ん中に置き、道行く人々がどういうリアクションをするか」というものであった。

東氏はこの今井の当初案であれば、ガラスケースの中に花々が入っているので環境への負担が少ないと考えていたが、ガラス張りのケースだと持ち上げるのに相当な労力が必要になるなど、様々な観点から検討した結果、最終的には「美しいフラワーアートを森へ返す」というコンセプトの鉄製の枠に落ち着いた。

「今回の作品に限らず、私が仕事に携わる上で意識しているのは、まずはメインビジュアルをいちはやく描くことです。仕事のお話を頂いたら最初にメインビジュアルを納得がいくまで作り込みます。『こうしたらダメだ、ああしなきゃダメだ』という制約は気にしません。何かを気にしながら描いたメインビジュアルは良いものにはならないからです」

「そして」と今井は言葉を繋ぐ。

「そうしてできたメインビジュアルを、どうしたら実現できるだろうかと試行錯誤しながら作り上げるのが自分の仕事だと考えています。今回の作品のように、日本人のスタッフと海外のスタッフが入り混じっているような案件だと、言葉の壁があるため特に、皆が共有できるメインビジュアルを早い段階で描くことは極めて重要です」

作品を完成させるために進む道のりの途中で、結果的には今回のように最初に描いたメインビジュアルの通りにはならないこともある。

では、今井の仕事の中で、何が大切なのだろうか。

あるいは何を大切にしているのだろうか。

筆者のこの問いかけに、今井はデザイナーという仕事の本質を、次のように応えてくれた。

「デザイナーの仕事は、『作品に関わる人のテンションを上げさせること』だと思います。一番にメインビジュアルを描くのもそのためです。メインビジュアルが最初に出来上がっていれば、大道具さんや技術さんもすんなりとイメージができます。つまり『ゴールを示す』ということ、格好良く言い換えれば『夢を見させる』とも言えます。」

 

Apple Final Cut Pro X プロモーション映像をお楽しみください

2016_7_5_午後4時22分9秒にアップロード

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