Cocco「有終の美」MV~スペシャルな存在~

「この人との仕事はいつも良いものになるな」と感じる「スペシャル」な相手が、誰しも一人はいると思う。

それは取引先であったり、ビジネスパートナーであったり、もしかしすると幸運なことに、上司であったり。

ご多分に漏れず、今井にもそう思える相手がいる。

「CoccoさんのMVに携わるのは今回が5作品目でした。2009年の『絹ずれ』、2010年の『ニライカナイ』と『瑠璃の花』、2011年の『花柄』、そして今作、『有終の美』です。

どんなアーティストであれ、MVを撮影する現場の空気感というものは必ず画に現れるものです。そんな中で、Coccoさんの現場にはなんというか、他とは何かが違う神秘的なものすら感じます」

 

そう、今井にとっての「スペシャル」は、皆さまもよくご存じであろうアーティストのCoccoである。

「かっこいい画が撮れるのはアーティストのパワー」とは今井の持論だが、ことCoccoに限っては、彼女自身が特別何かをしているわけではない、と言う。

もちろんアーティストと美術デザイナーの相性というものもあるだろう。

「ただ・・・」と、今井は続ける。

「相性以上に、Coccoさんにはごく広義的な意味でのカリスマ性のようなものを感じます。CoccoさんのMVでは基本的に、どんなことをしたいかをCoccoさんご自身が考えます。従って最初の打ち合わせでは真っ先にCoccoさんの考えを聞いて、『じゃあこうしましょう、ああしましょう』という流れです。アーティストの方がご自分でそこまで考えることは珍しいですし、私もそこを楽しんでいます」

 

今回の「有終の美」に限定して言えば、美術デザイナーとして最も力を入れたのは、Coccoがそのまま宇宙空間に飛び出したかのような満天の星々の中歌うシーンで背景にした、この銀河だ。slack-for-ios-upload-1

でこぼこの壁にスパンコールを吹きかけるという手法で作られているのだが、実はこの背景を作るのに今井は現場に行っていない。

アシスタントが今井の代理として現場に赴き、今井は現場から送られてくるムービーや写真によって判断、指示を出すという体制であった。

今回のように、今井が現場には顔を出さず、別のところから指示を出すのはまれにあることだ。

「現場に直接行かないこともたまにありますが、今回のMVに関しては現場に行きたかったです。撮影の様子を現場で見ていたかったというのが本音です。

以前のCoccoさんの作品に携わったとき、撮影中、朝からシーンを撮っていく過程で、一つ一つ上がってくるテイクが『全部かっこいいよね』という話をプロデューサーと話していたことがありました。やはりCoccoさんの撮影は私にとって『スペシャル』なのでしょう」

 

今井の話を聞いていて、ふと疑問が沸いた。

「MVの撮影の一番の醍醐味って一体何なのだろうか」、と。

その質問を向けると、今井はこう答えてくれた。

「例えばCMの撮影は計画性の権化みたいなものです。全部計算された上で撮られなければなりません。それに対し、MVの撮影とはアーティストが歌っている瞬間を捉えようとすることです。同じ瞬間は二度とありません。つまり全く同じ画など撮れないのです。いわば『即興性』がMVの醍醐味と言えるでしょうね」

 

今井が「スペシャル」と言って憚らないCoccoとの作品、極上の歌声と圧巻のパフォーマンス、一瞬一瞬の即興の折り重なりを収めた鳥肌必至の5分間を、あなたにもぜひ、ご堪能いただきたい。

(文中一部敬称略)

 

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