労働環境の改善について、いま思う事

映像美術業界には、安くてもキツくても構わないからこの仕事がしたいと夢を抱いて飛び込んでくる若者が多くいます。しかし彼ら、彼女らの多くは早い段階で仕事をやめていく。イメージと違ったとか、他の仕事に興味を持ったとか理由は様々ですが、多くは厳しい環境に耐えられなくなったというのが実情です。低賃金で長時間拘束。そんな労働条件が業界の常識となってしまっていますが、このままでは若者は定着せず、映像産業自体が衰退してしまうという危機感が僕にはありました。

そこで、ナラの樹では1つのプロジェクトと位置付けて様々な情報の発信をスタート。その最大の目的は「映像美術業界の労働環境の改善を図ること」でした。

これまで、チームのスタッフと話し合いながら様々な記事を発信してきました。
核心となる「労働環境」について記事にすることが決まり、いつものようにスタッフと打ち合わせに入った時。
結論が出なかった。
スタッフからも「これまでと違い、記事をどう帰結させたらいいか分かりません」と言われ、数時間の打ち合わせを何度も重ねたけれど、具体的な解決策を導くことができなかった。
現実を前に、“言うは易く行うは難し”を痛いほど実感したのです。

電通で働いていた女性が自ら命を絶ったというニュースは社会に大きな衝撃を与えました。僕もショックを受けた一人ですが、メディアによって報道される情報を知るくらいで真実は分かりません。けれど、報道で言われているように原因が労働環境にあるとして。広告代理店と映像美術業界は違うけれど、近しいところで働く者として、その厳しさは想像に難くありません。

僕がアメリカから戻ってきた当時に思っていたよりも、労働環境の問題は根が深い。幾つかのアイデアはあるけれど、何重もの壁を突破する明確な解決策を今は持ち合わせていないというのが正直なところです。ただ1つ、「才能にはきちんと対価が支払われなければいけない」こと。この意識を全員が共有できたら、大きく前進するのではないかと確信してはいるのですが。

こうした経緯からサイトでの情報発信では限界を感じ、プロジェクトとしてはこれがひとまず最後の記事となります。しかし労働環境の改善について諦めたわけではないので、新しい形を模索していきます。このサイトでまた何かお知らせすることもあるかもしれません。
これまでに発信してきた情報が、映像美術業界で働く人、業界を目指す人にとって、少しでもお役に立つことを願っています。

今井 伴也

プロジェクトをお休みすることについて、詳細はこちら↓の記事にも書いています。

プロジェクト「ナラの樹」はいったんおやすみ

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