巨匠デザイナーに学ぶコミュニケーション術

僕が他のデザイナーと仕事をする時に注目するのは、監督とのコミュニケーション方法です。どんな単語を使い、どんな話し方で、どう相槌を打ち、仕事を進めていくのか。映画におけるプロダクションデザインでも書いたように、デザイナーはトータルのビジュアルをデザインすることが仕事なので、監督とのコミュニケーションのとり方は重要なポイントになってきます。

ユニクロで一緒に仕事をしたKK Barrettは、美術に細かいことで有名なスパイク・ジョーンズと一緒に仕事をしていたため鍛えられていたのでしょう。監督と絶妙な距離感を保つのがとても上手で、言いたいことを確実に伝える人でした。

パイレーツオブカリビアンの装飾担当をしていたJohn Hammer Maxwellから学んだのは、ある相槌。彼がデザイナーとして参加していたインデペンデント映画に、留学時代の僕がコンセプトデザインと絵コンテの手伝いで参加した時のことです。彼が監督への返事に使っていた単語は全て“Exactly”。日本語では「その通りだね」という意味です。彼は監督の言うことに対して、時には監督が言い終わるのを待たずして、とにかく何でもかんでも「Exactly」と相槌を打っていました。

それを見ていて思ったのは、Understood、Certainly、Definitlyなど相槌となる単語は数あれど、Exactlyは使い勝手がとても良いということ。「あなたの意見は、まさに僕が言いたい(言った)事と同じですね」というようなニュアンスを含んでいるので、意見が多少異なる時でも「おっしゃる通り。ところで、こういう方法もあるよ」なんて提案を挿し込みやすくなります。もちろん意見が全く異なる場合には使いませんが、話のテンポを折らず、スムーズに進める単語として便利なんですね。

数年前にサンフランシスコで仕事をしたとき、帰国の機内でアシスタントから「今井さん、よくExactlyって言ってましたね。」と言われたほど、僕もよく使う単語となりました。

また、Johnは言葉だけでなく、実際に手を動かすことで監督を説得する人です。監督にプレゼンする時、彼は絵を描くのではなくイメージに近い小道具を集めてササッと並べ、カッコ良い照明を当ててポラロイドでパシャリ。それをたくさん作って見せるのです。監督にとってもブレインストーミングの材料となり、理解しやすくなるのですね。このプレゼン方法を見たとき、実際にやって見せることで生まれる強い説得力を改めて感じました。

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